【速報】クラリティ法案が上院で難航、可決確率30%に低下——3つの対立軸と市場への影響
2026年8月現在、米国の暗号資産規制の行方を左右する「クラリティ法案(CLARITY Act)」が上院での可決を前に深刻な壁に直面している。業界調査会社のBernsteinは直近の分析で可決確率を約30%と試算しており、8月の議会休会に突入した今、成立は早くても9月以降にずれ込む見通しだ。
クラリティ法案とは何か
CLARITY法案の正式名称は「Digital Asset Market Structure and Investor Protection Act」。米暗号資産業界が長年求めてきた「証券か商品か」という分類問題に、法律として決着をつけることを目的としている。
具体的には、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など「十分に分散化された」デジタル資産を「デジタルコモディティ」と定義し、商品先物取引委員会(CFTC)の管轄下に置く。一方、未分散のプロジェクトトークンや株式に類似する性質を持つトークンは依然として証券取引委員会(SEC)の管轄とする、という二元体制だ。
下院では2025年7月に可決。上院銀行委員会でも2026年5月に15対9で承認され、一時は成立が現実味を帯びていた。
なぜ難航しているのか——3つの対立軸

①倫理条項をめぐる攻防
2026年7月22日、上院に提出された600ページ超の統合テキストには、トランプ大統領が暗号資産関連事業の利益相反を解消することを求める「倫理条項」が追加された。これに対し共和党内の親トランプ派が反発しており、党内で亀裂が生じている。暗号資産業界はこの条項がビジネスを委縮させると反対するが、民主党は「なければ法案に賛成できない」と主張する構図だ。
②ステーブルコイン報酬の扱い
DeFi(分散型金融)で普及しているステーブルコインによるイールド(利回り)を、法律上どう位置づけるかで合意できていない。SECは「有価証券に近い」と見るが、業界は「利息に過ぎない」と反論している。
③開発者保護の範囲
スマートコントラクトの開発者がプロトコルの悪用について責任を問われうるかという問題も未解決のまま残っている。「コードを書いただけで訴えられる」状況を避けたい業界と、規制当局の利害が対立している。
市場への影響——どの銘柄が動くか
クラリティ法案が成立すれば最も恩恵を受けるとされるのがETH(イーサリアム)だ。「コモディティ認定」を受ければSECによる有価証券訴訟リスクが消え、機関投資家が安心して大規模保有できる環境が整う。現時点ではその期待から、可決観測が強まるたびにETH価格が敏感に反応する傾向が見られる。
XRP(リップル)は既にSECとの訴訟を経て一定の法的地位を確立しているが、クラリティ法案の成立はさらなる追い風になるとの見方が多い。一方でSolanaやAvaxなど「分散化の度合いが不明確」とされるアルトコインは、法案の定義次第でどちらに分類されるか不透明なため、引き続き不確実性が残る。
日本への波及効果
米国の規制が暗号資産市場に与える影響は日本も例外ではない。米当局がコモディティ認定した銘柄は機関投資家の参入ハードルが下がり、グローバルな流動性が向上する。日本の金融庁もこの動向を注視しており、「米国の法整備が進めば日本の規制見直し議論も加速する可能性がある」(業界関係者)との声もある。
今後のスケジュール
議会は8月の休会を経て9月に再開予定。上院多数党院内総務のジョン・スーン氏は「現時点では賛成票が足りない」と認めており、休会明けの本会議採決が現実的なタイムラインだ。Bernstein・Galaxy Researchともに可決確率を30%前後と見積もっており、依然として「通らない」シナリオの方が確率が高い。
可決・否決どちらの場合も相場インパクトは大きい。今後数週間は議会動向から目が離せない。